消去法の末に……

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消去法の末に……

 ある日のこと、ペリオン山中では海の女神テティスと、大神ゼウスの孫であるペレウスとの盛大な結婚式が行われていた。二人の結婚式には全ての神々が招かれたが、一柱だけ招かれない神がいた、その神の名はエリス、争いの概念そのものとされる女神である。結婚式に呼ばれなかったことに怒りを覚えたエリスは「許せない、結婚式、いや、神々同士に争いを招いてやる!」と、結婚式場に黄金の林檎を投げ込んだ。 黄金の林檎には「世界一、美しい女性へ」と文字が刻みこまれていたから、さあ大変。結婚式そっちのけでの女の争いが始まるのであった。 オリュンポスの女神たちは世界で一番美しいのは自分であると思い込んでいる自信家の集まり「あたしのことよ!」「美しいのはあたしだ!」と姦しく主張するものばかり、中でも自信満々だったのは女神の中でも最上位の三柱、 大神ゼウスの正妻で結婚の女神、ヘラ 大神ゼウスの娘で知性と戦いの女神、アテナ 大神ゼウスの義理の娘で美の女神、アフロディーテ この三柱の女神はお互いに「私が世界で一番美しいのよ!」と、譲る気はない。 痺れを切らした彼女達は公正な判定を大神ゼウスに託すのだが、どれを選んでも禍根が発生するとして、自分での判定を避けるのであった。 さて、こまった…… ゼウスは出来るだけ公正な判断が出来るものを探すのであった。
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