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 それから数日が経って、アンが私に「明日、またお見合いがあるのよ」と教えてくれた。「先日のご令嬢でお決まりになると思ったのにね」と続いた。 「とてもお似合いだと思ったのに」と私がため息をつくと、アンは「確かに、あのご令嬢なら我慢出来ると思ったのよね」と言いつつ、アンは町に買い物に行くと言い出した。 「今回、テーブルクロスなど新調して欲しいと言われているのよね。今回の方にご期待されているのね」と。  先日のご令嬢のために温室を用意されようとして、私が断ったのがいけなかったのかしら。それとも、先方からお話が途絶えてしまったからかしら。とても素敵な方だったから、ほかに恋人がいらしたのかも知れない。  先日の方で決まらなかったのをホッとしつつ、アンが楽しそうに買い出しに行く様子に私はショックを受けていた。  忙しそうなアンに合わせて私もお屋敷の気が付くところまで丁寧に掃除をした。午後、薬草の手入れをしようと裏庭に行った。  屋敷を出ていくなら、先日埋めて隠した木箱も持っていかなければと思い、掘り起こそうとその生垣の根元に近づくと、そこは誰かが掘り起こした跡のように見えた。私は慌てて、木箱が残っていないかと土を起こすとやはり木箱が無くなっていた。 「どうしよう。木箱の中身が誰かに見られた? リーレンの『惚れ薬』を悪用されたら‥‥‥」  でも、どうしようもない。誰が持ち出したのだろう。お屋敷の誰かと言っても、思い当たる人はいない。キャンディーの包み紙は私にとっては大事なものだけれど、他の人にとっては何も意味もないもの。  掃除をしながらお屋敷の何処かに木箱が無いか探したけれど、見当たらなくて私は疲れ果てその夜はぐっすりと寝てしまった。
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