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今の時期ならありそうなこと
その日は生憎の雨だった。しかし、傘が必要とは思えないぐらいの小雨、いや、体を冷やす力すらもない霧雨と言った感じだろう。
朝のニュースの天気予報も降水確率は30% 早朝からの曇天の空を見れば妥当な数値だろう。外に出て、鼻をひくつかせれば雨の匂いのペトリコール臭も僅かに感じる。
人にもよるが、傘を持っていくか持っていかざるべきか非常に悩ましい天候だ。
ぼくが「今日、傘いるかな?」と、考えていると、テレビの中のお天気お姉さんは更に迷わせるような言葉を発した。
「今日は夕方から朝にかけて雨が強くなるかもしれません。帰りは傘が必要かもしれませんよ! それでは、今日も良い一日を!」
そうか、今日は夕方から雨なのか。これはこまった、今日は試合どうなるんだろうか。
今日のぼくの予定は、朝から夕方まで仕事。仕事が終わった後はすぐにプロ野球観戦の予定だ。今日の試合会場は屋外球場、天候次第で「雨天中止」が決まってしまうのだ。試合中止になれば即帰宅。屋外球場での試合となると気にしなければいけない問題だ。
仕事中も気になるのは天候の問題、デスクから見える窓に水滴こそつくが盛大に濡れる程ではない、昼休憩中に外に出てもアスファルトはねずみ色を維持し続けている、つまり、極めて弱い雨なのだ。
そして、その弱い雨はぼくの仕事が終わる夕方の五時まで続いた。終業の鐘がなると同時にぼくは会社から野球場へと光の速さで突っ走る。会社から野球場へは歩いて十分、走って五分といったところだ。
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