最初の異変

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最初の異変

あの夏の出来事は五年が経過した今も、時に私の記憶をその時間へ引き戻す。 今年も梅雨の時期が来た。 ねっとりとした鬱陶しさは、あの夏の記憶を蘇らせる。 大学に入った一年目。 一人暮らしを開始し、大変ながらも新しい生活に慣れ始めた頃、それは不意に私を悩ませ始めた。 実家は田舎で今でも満天の星空が見えるほどの田舎。 それが気に入っていたが、大学に通うには遠すぎた。 仕送りは遠慮して家賃の振り込みだけをお願いして、大学、バイト、友人やサークルのお付き合い、忙しいながらも楽しく過ごして、一人での生活にも慣れた梅雨入りのシーズン。 その日も湿気で纏まらない髪をハードなスプレーで固めて、肩下の短い髪を何とかお団子に纏めて、慌てて家を出た。 ヒールはまだ苦手だが、三センチから履いている。 いつか高いヒールを鳴らして歩くのが夢。 ふわっとしたサーモンピンクのフレアースカート、透け感のある淡いベージュのカーディガン。 ファッション雑誌を読み、安いバーゲンで買った洋服。 お洒落も勉強のうち。 今時の女子大生になるのも、周りから浮かない為に大事だった。
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