185人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
翌日、大学に行く為に恐る恐るドアを開けた。
顔を出してキョロキョロと辺りを見ていると、右隣のドアが開いて、挨拶をしてくれた男性が出て来た。
「こんにちは。………どうかしたの?」
雪絵の様子に不思議顔を向ける。
「あ、いえ……。こんな時間に会うなんて……。」
人がいる事にほっとして部屋を出て鍵を掛けた。
「今日ね、休みなんだ。今から昼飯食べに行こうと思って。大学?」
「はい。」
「いってらっしゃい。じゃあ。」
と、先を歩き出した男性を見て、思いついて後を追った。
階段の途中で声を掛けた。
「あの!すみません、お聞きしたい事が…。」
「俺?」
「はい!あ、ご迷惑でなければご一緒しても良いですか?お話をお聞きする代わりにご馳走させていただきますから…。」
「大学、時間いいの?」
「大丈夫です!」
「じゃあ、まぁ、どうぞ?この先の喫茶店だけどいい?」
「はい。すみません。」
講義をサボり、隣人の昼食に同行した。
「真下幸俊です。取り敢えず自己紹介?まぁ、聞きたい事ってそれじゃないよね。」
注文し終えると、笑顔で言い雪絵を見ていた。
「すみません、急に。あ、河田雪絵です。知ってますね…。」
乾いた笑顔で笑うと真下は、心配そうな顔をした。
「河田さん、下の名前、ゆきえ、なんですね。偶然だね?「ゆき」が一緒。」
「ほんと…ですね。」
返事をしてから話していいか悩んでいると、注文したアイスティーとアイスコーヒー、真下のナポリタンが運ばれた。
「ご馳走になるんだから、なんでも聞いてよ?」
そう言われて少し楽になり、口を開いた。
「あの、真下さんはいつからあのアパートにお住まいですか?」
「えーっと、三年、あ、四年か。二年毎に更新だから、今年更新葉書来てた。」
「私の部屋、前の人ってどんな方がご存知ですか?その…病気とか事故とか?」
「うん?事故物件疑ってる?」
ズバッと聞かれて下を向いた。
最初のコメントを投稿しよう!