大学二年

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「うろうろねぇ。あ!それ下見かもしれないですね?」 「下見?」 真下の言葉を聞いて少し考えてから思い付いた様に男性が言う。 「ええ、下見。有り難い事に直ぐ新しい方が決まりましてね?ただまだお住まいだからお部屋は見せられないって場所はお教えして…。」 「あ、じゃあ男性ですか?新しい人。」 「ええ、会社員の方で、まだ二年目ですけど、あのアパート、大家さんが厳しい方でね?変な人を自分のアパートに入れたくないって言われて、多少の空き部屋は構わない、身元のしっかりした人をって言われるのでうちも審査は厳しくしているんですよ。個人的な事なので詳しくは言えないですけど、ちゃんとした会社員の方ですよ。」 不動産屋を後にして、真下の車に乗り込むとほぅとため息を大きく吐いた。 「安心した?」 覗き込む様に聞かれてお礼を言った。 「お隣に何もなくて良かったです。私も何もないし…きっと全部気のせいで、全部終わったんだと思えました。良かった…。」 安心すると急に少し涙が出た。 「両隣が男だし、警護がいるとでも思って何かあったら大声だしなよ?俺が言うのも変だけど、取り敢えず同じ年位の妹いるし、河田さんに危害は加えないから信用して欲しいな。」 「すみません。お隣だって言うだけで話を聞いてもらって、ここまでお付き合いしてもらって…。助かりました。一人だったら相手にされずに追い返されてたかもしれないです。」 頭を下げると真下は笑いながらエンジンを掛けた。 「相手にされない事はないでしょ?仮にも自分とこの物件に入居しているのだし…。気持ちが軽くなったなら良かったよ。」 「本当にありがとうございました。」 真下が言う通り、気持ちは大分軽くなった。 もうあんな奇妙な事はないだろうと思えた。
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