二ヶ月後、八月

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結局、原因は不明のまま、時間が掛かってもいいならお借りしていいですか?と言われたが、そこまではと考えてしまい諦めて店を出た。 故障ではないし、触った感じも違うらしい。 (ではどうして?) そんな疑問を持つ。 このスマホは中古ではない。 お店の人にそれも聞かれた。 以前の持ち主が掛けてきてないか、みたいな感じで言われた。 中古ではない、それは一緒に購入しに正規のお店に行ったから分かる。 落とした事も一度もないし、誰かに貸した事もない。 それも店員さんに聞かれた。 原因が分からずに、時間が気になり店を出たのだった。 着信はまだ二回。 気にはなる。なるがこれから無ければいい、頭の隅でそう考えた。 二時間も経つと電話の事など綺麗に忘れて、バイトに集中していた。 生活費は自分で稼いでいるから、学校のない日のバイトは大事な収入源だった。 バイトを終えて21時半過ぎ、帰宅。 鍵はアパートに着く前に、一時停止して鞄から取り出し握り締めた。 アパートの階段を静かに上がると、部屋の前でスマートに鍵を差し込んだ。 何もなく無事に部屋に入る。 ほぉと、ため息を吐いて、冷蔵庫を開けて水を飲んだ。 テレビを付けてニュースを見る。 鞄からスマホを取り出し定位置に置く。 スマホは点滅もしてないし着信履歴もない。 「鍵があればいい話な訳?」 妙な事を考えながらも気楽になって安心していた。 ファミレスのバイトは賄いが出るので選んだ。 一食浮くのは非常に助かる。 今日も夕食は賄いを頂き帰宅した。 シャワーに入り、早々にベッドに入った。 いつも疲れてぐっすりだった。
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