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abcde0a9-c340-488c-9cce-bfb61717514d  花の一本が吹く風に乗って、つぼみ姫の方にぐっと身を乗り出すようにして言いました。 「だいたい、ドニのあんな大嘘を信じるなんてね。いつまでもつぼみのままのあんたを不憫に思って、口から出まかせを言っただけに決まっているじゃない」  つぼみ姫は驚いて、思わず大きな声を出しました。 「大嘘ですって? いいえ、ドニおじいさんは心の底からほんとうにそうだと思って言ってくれたに決まっているわ!」 「なんておめでたい『つぼみちゃん』なのかしら! ねぇ皆さん、ほんとうにこの子とドニ、それにシュシュはいい取り合わせだと思わない?」 「ええ、思うわ。いつまでたってもつぼみのままの出来損ないに、老いぼれの人間と年寄りの猫だなんてねぇ!」  花たちはいっせいに笑い出しました。つぼみ姫は怪訝に思って、笑いさざめく花たちに尋ねました。 「老いぼれ? 年寄り? それってどういう意味なの?」  花たちはあきれてくすくすと笑い合いました。 「あなた、意味も分からないでドニに『おじいさん』って呼びかけていたの?」 「だって、鳥や蝶たちもそう呼んでいるから……」 「あきれたわ。あなたやっぱり『つぼみ姫』ね」  花たちはさんざん笑い、つぼみ姫の聞いたことには何も答えずに眠ってしまいました。  つぼみ姫は東の空が金色のおひさまの光ににじんできても、眠ることができませんでした。 ed2b2932-c4cf-4a4d-ac9f-c3cd194827a3
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