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庭園のお世話をするのはドニおじいさんでした。ドニおじいさんは若い頃は前の王さま──つまり今の王さまの父君に仕える庭師でしたが、とうに引退して森の奥の小さな小屋で、まっしろい年老いたメス猫のシュシュと静かに暮らしていました。けれどとても腕の良い庭師だったことを覚えていた今の王さまに、再び花の世話をするよう望まれました。
ドニおじいさんは、もうずいぶん長いこと働いてきたからあとはゆっくり過ごしたいと、王さまにお断りをするために、シュシュと共にお城に出向きました。
王さまは庭園で待っていました。ドニおじいさんは美しい花々で埋め尽くされた立派な庭園をゆっくりゆっくり奥へと進み、やがて王さまを見つけました。王さまは、世にも美しく不思議な花のつぼみの前に立っていました。ドニおじいさんはこの輝きを放つつぼみを見たとき、胸の奥底の方から抑えがたい感動が泉のように沸き上がるのを感じました。
王さまはじっとこのつぼみを見つめながら、ドニおじいさんに言いました。
「実に美しく神秘に満ちたつぼみだとは思わないか? このつぼみがその花を咲かせられるように、おまえに世話をしてほしいのだ。おまえはほんとうに腕の良い庭師だった。きっとおまえなら、この花を咲かせられるだろう」
ドニおじいさんは一目見た瞬間から、このつぼみのことが大好きになっていました。けれどまだお世話を引き受けるとは決めきれずにいました。ところがそのとき、控えめで可憐な声が、ドニおじいさんの耳をくすぐりました。
「ほんとうかしら。この人なら、わたしのこの固く閉じたつぼみを開かせることができるのかしら」
ドニおじいさんはびっくりしました。その可愛らしい声は、確かに目の前の光るつぼみから聞こえてきました。見ると、シュシュにもその声が聞こえたようで、目を大きく開いてじっとつぼみを見つめていました。
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