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5fecc193-9362-4f38-b848-ed9b3da0d843 「シュシュ、おまえにも聞こえたのか? この花の声が、確かにおまえにも聞こえたのかい?」  王さまは驚いてドニおじいさんを振り向きました。 「ドニよ、おまえはこのつぼみがしゃべったと言うのか?」  するとつぼみがまた声を出しました。 「まぁ、なんてこと。あなたはわたしの言葉がおわかりになるの?」 「あぁ、わかるとも!」  ドニおじいさんは思わず大きな声で返事をしたあと、目を見開いて自分を見つめる王さまに向き直り、言い訳をするように言いました。 「王さま、わしの体はご覧の通り、ずいぶんガタがきておりますが、頭の方はまだまだしゃんとしております。だからおかしくなったとか、そういうことでは……」  王さまは片手をあげてドニおじいさんを遮ると、 「このつぼみは神秘のつぼみ。言葉を話すこともあるだろう。だがその声を聞き取れるのはおまえだけのようだ。やはり、なんとしてもこのつぼみの世話をしてもらわねばならぬ」  ドニおじいさんはきらきらと様々な色を映して光り輝くつぼみを見ました。つぼみは期待にその身をふるわしながら、再びやさしい心地のよい声で言いました。 「わたし、あなたに世話をしてほしいわ。そしてどうか咲かせてほしいの。だって、わたしは生まれてからずっとつぼみのままなの。それはとっても寂しいことなんですもの」  ドニおじいさんはつぼみの心からの訴えを聞いて、ついに決心しました。こうしてドニおじいさんは、再び王さまに仕える庭師になったのでした。 dd167d01-dfc5-418c-a512-57f71f73376b
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