![5faf70eb-03e0-4049-a765-d2659512cc58](https://img.estar.jp/public/user_upload/5faf70eb-03e0-4049-a765-d2659512cc58.jpg?width=800&format=jpg)
ドニおじいさんはつぼみ姫の隣のベンチに腰をおろすと、膝の上にサンドイッチの包みを広げ、シュシュと分け合って食べ始めました。
太陽はやわらかく寛大で、のんびりと空に浮かぶ雲が、つぼみ姫やドニおじいさんやシュシュのことを、あたたかく見守っているようでした。
つぼみ姫はそんな雲を眺めながら、ドニおじいさんに話しかけました。
「ねぇ、ドニおじいさん」
「なんだい」
「わたし、もしかしたらずっとつぼみのままでいなければいけないのじゃないかしら」
ドニおじいさんはかじりかけのサンドイッチを膝のナプキンの上に置くと、つぼみ姫に尋ねました。
「なぜそんな風に思うんだい?」
「昨日の晩、ここの花たちがわたしに言ったの。『あなたはほんとうに美しい世界に一つだけの花。だけど、いつまでたってもつぼみのままで、花としての値打ちも意味もありはしないわ。きっとあなたは一生つぼみのままでいるんだわ』って。わたし、ほんとうにずっとつぼみのままなのかしら」
つぼみ姫は悲しそうにうつむきました。
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