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私が急に声を荒げたから、沢村さんをはじめこの家の人間はみんな固まっていた。
「結婚は高校卒業後にするって聞いてんだろ? コラァ。
まだ2年の猶予があんだよっ。
グダグダ騒ぐのは、2年後にしてくんない?」
あー、もう無理。
マジでイライラする。
初日だし、おとなしくしておこうと思っていたのに。
一度入ってしまった怒りのスイッチは、元に戻りそうになかった。
「それにこの家で暮らすのは、沢村さんが海外出張から戻って来るまでの半年間だけだっつうの。
こっちはきちんと家事をやるように頼まれてんだよっ。
若いだの金目当てだの文句を言うのは、私の仕事ぶりを見てから言いな!」
私の家事の腕前なめんなよ!
沢村さんが私の家事の腕前を知ってて声をかけてくれたのかどうかはわからないけど、まさに家政婦は私にピッタリ。
これ以上に得意なことは、他にないんじゃないかっていうくらい。
「わかった?」
ギロリと睨み上げたら、三兄弟はハイ……と小さく返事をした。
そんな彼らを見ながら、肩を震わせて笑いを堪えている男が一人。
沢村さん、もしかして楽しんでる?
うー、なんかムカつく。
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