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スカウト?
「キミ、18歳未満だよね?」
背中にゾクッと悪寒が走る。
お店の一番奥のボックス席。
アケミさんが他のテーブルに移動した直後、私の隣に座っている男が突然そう言った。
アケミさんの常連客だというその男。
今日初めてヘルプで付いた私にまさかそんなことを言うなんて。
ついさっきまで思いもしていなかった。
「もしかして警察?」
「いや、タダの客だよ」
「じゃあどうして私が18歳未満だって思うの?」
「うーん。まぁ勘かな?」
そう言ってタバコをくわえる男に、私はすかさずライターに火をつけて差し出した。
「悪いけど、その勘は外れてるよ。
私はこの春高校を卒業したばかりなの。
だから、18歳よ」
少し早い口調で言葉を並べてみれば、男はふぅと煙を吐き出しながら、切れ長な目を細めてクスリと笑った。
「実はさ、キミのことを見たことがあるんだ」
「見たってどこで?」
「春日西高の近く」
「え……?」
「制服着てたよね。セーラー服だっけ」
返す言葉を失った。
いよいよ雲行きが怪しくなってきた。
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