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翌日。
学校は休みの日だった、裕太は2階にある自分の部屋で宿題をしていた。早くやらないと怒られるんだよなーー。と思いながら、ドリルの答えを丸写ししていた。ロボットは相変わらず斜め後ろに立っている。
「・・・?」
足元に黒い影をみた。それはチョコチョコと動き回っている。消しゴム程の大きさで、頭の方には何か二本の毛のようなものが伸びて左右に揺れている。裕太の額からは汗が流れた。家に必ずいるとも言われ、進化をし続ける最強の黒い虫。1匹見つかれば家には30匹はいるそうな。その黒い物体は裕太の足元に近づいてきた。気持ち悪くて身動きが出来ない。でも力を振り絞って逃げよう。そう思ってそーーっと椅子から立ち上がろうとした。
どうしてもこの虫だけは苦手だ。数年前に、口に入ってしまった事があり、トラウマになっていた。まさに不運の象徴である。
その時、手が滑ってドリルを机の上から豪快に落とした。
バシャーーン!! それと同時に、黒い物体が翼を広げて顔めがけ羽ばたいてきた。
「うわーーーーーーーー!!!!」
親が2階に駆け上がってきた。どうしたのと言わんばかりにかなり驚いている様子。
「ゴ・・ゴ・・・ゴキ・・・」
ギュンギュンと音がした。振り向くとロボットがいた。右手を裕太の顔辺りの高さまで上げている。拳の中では何か黒いものがモゾモゾと動いていた。そしてロボットは拳を握り締めた。
ロボットは、自分の体と部屋を洗浄し、落ちたワークも机の定位置に置いてくれた。裕太は宿題の続きを落ち着いてやることができた。
「あ・・・」
消しゴムが落ちたかと思ったら、すぐロボットが拾い上げ、机の上に置いてくれた。
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