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雨が降ってきた。バケツを引っくり返したような雨だった。裕太は自分の部屋にいた。部屋には裕太以外に誰もいなかった。いやこれは当たり前のはずだったのだ。オンボロにジロジロ見られなくてせいせいする。裕太はベッドに転がった。
・・・・・
ザーーーーー。雨が激しく屋根、窓を殴りつけてくる。ザーーーーーーーーー。ザーーーーーーー。ガリガリ。ザーーーーーーー。ガリガリガリ・・・。
ふと裕太は起き上がり、カーテンをめくり、窓の外を見た。
「・・・・」
道路にロボットが歩いていた。暗がりではっきりわからないが、よほど激しい雨なのか、単なる老朽化なのか、シルバーの塗装が剥がれているみたいだ。とてもゆっくりガリガリと音をたてながら歩いていた。裕太はその様子を見ていた。
「・・・・」
ロボットは、裕太の部屋の目の前にある電柱の前で動きを止めた。燃料が切れたのか、本当に壊れてしまったのか分からないが、ピクリとも動かない。
「・・・・」
裕太はそのままカーテンを閉めた。
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