The end of the Journey.

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The end of the Journey.

これはフラれた一女子の話だ。失恋の話。でも本当にそうか? 元から恋じゃなかったのなら、失恋、という言葉は当てはまらなくなってしまうだろう。昂希への感情は恋だったのかもしれない、でも、そんな言葉に当てはめられるだろうか。恋以上で、恋未満だった。 昂希が大切だった、たったそれだけでいい。きっと彼はベテルギウスのようだったのだろう。 ベテルギウスの見える光は、六四〇年前の光。あの星はもう、オレが生まれるより前から存在していなかったのかもしれない。オレが信じてきた“昂希“なんて、本当はなかったのかもしれない。でも、それがなんだって言うんだ。ベテルギウスは、昂希は、輝いている。それが虚像であったとしても、その灯火はいつだって、オレの心を照らし、暖めてくれる。 ――そうだろう? これは、フラれた一女子が、そこから立ち直るために捨てた、一つの我儘な感情の話。
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