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「一生、おまえが俺のそばにいると」
恭ちゃんの、そばに?
一生……?
それって、まるでプロポーズみたい……
恭ちゃんの抱き締める力が強くなる。
まるで本当にプロポーズみたい。
「この先、お互いが死ぬまでずっと」
そして、気づいた。
恭ちゃんの胸元に手を添えていたわたしの指に光るものに。
これ……?
『そうだな……美香、おまえが結婚できる歳になったら、俺が嫁にもらってやるよ』
『ホント、に……?』
『その時には、俺はすっかりジジイになってるだろうけどな。それでもいいなら離れずにいろよ』
あの時、拗ねた子供を相手にしたただの口約束。
だけど、わたしはその約束が叶うとずっとずっと信じていた。
これ、指輪……?
うそ、ホントに……?
「約束しろ。おまえは一生俺のものだと」
恭ちゃんの声がわたしの耳元で響いて、恭ちゃんの胸元で何度も頷いた。
一生、恭ちゃんのそばにいたい。
一緒に笑って一緒に泣いて、そして、一緒に同じ道を歩いてく。
「美香、俺がおまえを嫁にもらってやるよ」
【完】
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