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『自分のこと、そんなにダメな奴だなんて
思うなよ。
俺は……お前が頑張ってるのを見て、俺も
頑張ろうって気持ちになれたんだからさ。
……好きになった子に、ふさわしいだけの
男になれるよう……頑張ってきたんだから』
パソコンに打ち込んだテキストを心の中で読み返して、澄絵は満足そうに微笑んだ。
自分が実際、憧れの男性からこんなセリフを言われたら――そう思うと、澄絵は胸の奥が熱くなるのを感じていた。
短大を卒業したばかりの二十歳の澄絵は、自分がテキストに起こしたような甘い恋愛の経験はまだ無い。
それでも学生時代から追い続けている夢がある。
一つは、自分が生み出したストーリーのような素敵な恋愛をすること。
もう一つは、自分が書いた恋愛の物語が多くの人に感動を与えること。
その二つ目の夢を叶えるために、澄絵は今の会社に入った。
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