私が書いた乙女ゲームのシナリオが勝手に書き換えられた時の話

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「……」  和泉に注がれる、澄絵の戸惑いの視線。それを、和泉はどう解釈したのだろうか。  やがて、澄絵を安心させるようにフッと微笑んだ。 「捨石も、何で自分が咎められたのか……きっと納得して、後で朝日さんに謝罪に行くと思うよ。中で今、桐生がなだめてくれているはずだから」 「……あっ」  横目で会議室の方へと目配せしながら、和泉が語る。  その言葉で、澄絵も察した。 (そうだった……そもそも、どうしてあの場で叱らず別室に移動したのか……どうして、その席に桐生さんを伴ったのか……)  多恵が置かれた立場を自分に置き換えて考えてみれば、よく分かる。  他の社員がいる前で叱られては、その人の立場が無くなってしまう。  だから、当事者だけを個室に呼び出したのだ。 (説教された直後は、どうしたって気持ちが沈んでしまう。人によっては、説教した相手に反発を覚えてしまうことだってあるかも……)  そうなれば自分の非を認められず、不当に叱られたという不満だけが残ってしまうだろう。  そんな時、叱った後に別の人が慰めのフォローをしてくれると説教もより効果的になる。  優しく慰めてもらえれば気持ちが落ち着くのも早いだろうし、説教を素直に受け止めることも出来るだろう。
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