私が書いた乙女ゲームのシナリオが勝手に書き換えられた時の話

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(和泉さんが、厳しく説教するイメージは無いけど……フォロー役だったら、捨石さんと仲が良い桐生さんの方が絶対に向いてる)  澄絵のことだけではない。  問題を起こした多恵のことも、また事情を知らない他の社員のことも考えた上での和泉の配慮だ。  まだまだゲームの開発は続くのだ。これからもスタッフ一同が協力し合える環境を保つためには、社員同士の諍いを見せるのは得策ではない。  そんなところまで気配りが出来る、和泉の大人の対応だった。  それを感じ取った澄絵は、胸の奥がほのかに熱くなるのを覚えた。 (この気持ち……前にも、どこかで……あっ!)  それは正しく、澄絵が初めて乙女ゲームに触れた時に抱いたときめきと同じ感情だった。  この想いをシナリオライターとして文字に起こすとしたら、それはどんなセリフになるだろうか。  ゲームの登場キャラクターに言わせるつもりで考えてみるが、なかなか的確な言葉が出て来ない。  それぐらい、素敵で大切な想いだった。 (でも……だけど……せめて、何か一言だけでも……伝えたい。この胸の高鳴り……熱い鼓動……ほんの一欠片だけでも、和泉さんに……!)
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