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澄絵は同じ会社に勤める和泉が、強い憧れを抱くぐらい魅力的な男性だと今日初めて知った。
その和泉は、もうずっと以前から澄絵の魅力に気が付き、澄絵のことを見てくれていた。
そんな喜びが、澄絵の胸を内側から打ち鳴らす。
「俺が読みたいのは、朝日さんが書いたストーリーなんだ。だから、朝日さんの方を選んだまで。捨石のことを強く言えない……朝日さんから感謝される理由も無い。身勝手なもんだろう?」
「そ、そんなことっ……」
自分を卑下する和泉の言葉を、澄絵は首を激しく横に振って否定しようとする。
少なくとも澄絵は、和泉をそんな男だとは考えていないのだから。
揺れる澄絵の瞳から、彼女の気持ちを察したのだろうか。和泉は表情を和らげて、言葉を紡ぐ。
「朝日さんが、新人ながらも頑張っていること……どうすれば、プレイヤーの心に響くストーリーが出来上がるのか考えて努力していること……シナリオを通して、朝日さんが日々成長しているのを感じていた」
和泉が口を開くたびに、澄絵は胸の高鳴りが強まっていくのを感じていた。
苦しくて、そして心地いい響きだと思った。
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