私が書いた乙女ゲームのシナリオが勝手に書き換えられた時の話

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「俺は、その頑張りに励まされて……自分も、頑張って良いゲームを作ろうという気になれたんだ。だから、これからも朝日さんにシナリオライターを続けていってほしい。この先、今日みたいなことが何度あったって……俺はその度に、朝日さんを選び続けるよ」  シナリオライターという夢の道を歩み始めたばかりの澄絵。  その澄絵のシナリオを認め、澄絵自身を見つめ続けてきたと語る和泉。  澄絵の努力に負けないよう、和泉もゲーム制作に取り組んできたと言う。 (それは……私が今、書いてるストーリーと同じ……)  正に今日、テキストに起こしたトーマのセリフ。ゲームの中のヒロインに向けられた想いと同じ。  そのシナリオは、まだサーバーにはアップロードしていない。  つまり、まだ和泉の目には触れていないはず。その知らないはずのトーマのセリフを、和泉が口にした。  それが何を意味するのか。澄絵は、はっきりと理解し意識していた。 「和泉さん、私……私、まだまだ未熟です……捨石さんに今日、そのことを思い知らされました」
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