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――ここは、乙女ゲームの製作をしている会社。
学生時代の澄絵は、ここの会社からリリースされた乙女ゲームに触れることで、誰かに愛されることの喜びを知った。
そして、目指した。自らも世の乙女たちに恋の感動を与えられるような、素敵な乙女ゲームのシナリオを書こうと。
澄絵がエントリーした時、ちょうど会社側も新作の乙女ゲーム開発に着手していた。
その乙女ゲームのシナリオライターを募集していた会社は、澄絵を含む就職希望者に一つのテストを課した。
――与えられたお題に沿った恋愛シナリオを書くこと。
まだ学生だった澄絵には、ゲームのシナリオを書いた経験は無かった。
それでも憧れの企業、憧れの職業に近付くチャンスと思い懸命にペンを走らせた。
学生時代にハマった乙女ゲームを思い出し、自分ならこんな恋物語を紡ぎたいという想いを宿らせて。
結果、澄絵の入社は決まった。そして、ディレクターの推薦により開発中の乙女ゲームのシナリオライターに抜擢された。
念願だった乙女ゲームのシナリオライター。後は出来る限り多くの人を満足させられる話を書きたい。
学生時代の自分のように、ゲームを通して素敵な恋愛を体験できる人を増やしたい。
そんな想いから、この日も澄絵はパソコンと向き合ってキーボードを叩いていた。
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