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「ピピちゃん、ただいま~」
玄関に入り、和哉は急に猫なで声になった。
一抱えほどの鳥かごには、真っ白い文鳥が一羽鳴いている。
和哉がその小さな出入り口を開くと、すぐに文鳥は外へ出て来た。
「手乗りなんだ。可愛いだろ?」
にこにこと、和哉は手の上の文鳥を撫でている。
その笑顔も素敵で、翼は思わず腕を差し伸ばしていた。
「僕も、ピピちゃん触っていいですか?」
「いいよ~。そっと触れてね」
言われた通り、驚かさないよう静かに手を出すと、鳥は跳ねて翼の指に乗ってくれた。
「やったぁ!」
「気に入られたな、峰松くん」
和哉が鳥かごの掃除や水替えをする間、翼は文鳥と戯れた。
小さな命。
その愛らしい仕草は、翼の心を温めた。
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