走馬灯プランニング

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人生で最も最悪な日とは今日なのかもしれない。 今まででそう思ったことは何度かあったがそれを遥かに超えて今冷静にそう感じている。 癌。余命半年。 暫く途方に暮れていただろうか、 気がつけば大学病院の広い芝生の隅にあるベンチで時を過ごしてしまったみたいだ。 たしか、医師から告知されると体が熱くなり鼓動が速くなるのを感じながらふらふらとベンチにたどり着いた気がする。 そして随分長い時間途方に暮れてから落ち着いて、嫌に冷静になり明日上司にどう報告しようかと考えていた。 まぁいい人生だったなぁ、、、 なんて車椅子で散歩する老人を横目に黄昏れていたようだ。 佐々木健二、39歳。 友人達は早すぎる死と涙を流してくれるだろうか。 父親は親より先に逝く息子を叱るのだろうか。 母親はこの世の終わりかの様に嗚咽するのだろうか。
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