走馬灯プランニング

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いくら天井を眺めたって睨んだってどうしようもないし何も浮かばない。 真っ白だと思っていた天井にうっすらと柄が入っていた事に気付かされたぐらいでこれからどうすればいいかなんてわからない。 こんな時奥さんや子供がいれば何かしておきたい事や残しておきたい物、やらなきゃいけない事なんかが浮かんでくるのだろうか。 佐々木の気持ちとは裏腹に雲一つない真っ青な空と穏やかに晴れた陽の光が日当たりの良い南向きの部屋へ堂々と差し込んでくる。数千円高い南向きの部屋をわざわざ選んだ自分にこの日ほどイラついた日はない。 [ティロン] スマホのメール音にしょうがなく重い腰を上げメールを確認する。 明雄からだ。 [今夜19時いつもの駅前の居酒屋で!] いつもと同じ感じの明雄のメールに少しほっとして、もう正午を回っていた事に気付く。  「お腹すいたな、、余命わずかな体でも腹は減るのか、、」 なんだか自然と笑いがこみあげる。体はまだまだ生きようとしているんだな、ありがとう俺の体。なんて笑いながら考えたりする。 佐々木は財布だけ持ち近所のコンビニへと向かう事にした。 平日のこんな時間に訪れた事はなかったがお昼時だったせいか汚れた作業着を着た職人や揃いの制服を着たOLが多くいる。佐々木は蕎麦と缶ビールを2本持ちレジに並んでいると後ろから声を掛けられた。 「こんにちは、体調どうですか?」 「えっ、は?」 「すみませんまた突然声をかけてしまって。この前病院の庭でお話しさせていただいた走馬灯プランニングの加藤です。会社がこの近くで今お昼休み中なんです」 「、、、そうですか」 相変わらず嫌らしい笑顔を振り撒く女だと佐々木は無愛想に答える。 「大丈夫ですか?顔色悪いですよ? お昼は、、お蕎麦ですか。ビールより野菜も食べた方がいいですよ」 「お待ちのお客様こちらどうぞ〜」 コンビニ店員の声に慌てて前を向き直し佐々木は急いでレジへと向かう。 鬱陶しい勧誘だ。こんなとこでまた会うなんて運が悪い。目をつけられたら最悪だと思い佐々木は会計を済ませると小走りで出口へと急いだ。
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