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強引に押し付けられたサラダと名刺をしょうがなくコンビニの袋に入れて家へと歩く。
はぁ、なんだか疲れた。癌のせいなのか、あの強引な加藤という女のせいなのか。
横断歩道の赤信号で止まりふと加藤の言っていた事を思い出す。
青信号になって横断歩道を渡りかけた時、もの凄いスピードでトラックが突っ込んで来る、、、かぁ、、、
ぼぉーっとそう考えていると遠くから大きなトラックがこちらへ向かってくるのが見える。
まだ赤信号だが、少しずつゆっくり前へ足を踏み出してみる。
癌で死ぬ前にトラックに引かれて死んだら、、、
「キキィキキィーーーーーー」
「危ねぇな!飛び出してくんな!死にてぇーのか!」
トラックの運転手に怒鳴られ佐々木は蕎麦やサラダをばら撒いて横断歩道の真ん中にさしかかろうとした辺りで尻餅をつき呆然とする。
やっぱり死にたくない。
怖い、怖くて怖くてしょうがない。
幸せな死なんてあるはずがない。
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