折りたたみ傘

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この季節は天気がコロコロ変わる。 朝、晴れていると思えば、帰る頃には雲が空を覆って雨が降り出す。 今日はオマケに雷もついてきた。窓にボタボタ当たる雨の雫を眺めながら 天気予報はあたらないな。 もうすぐHRも終わって、家に帰る時間なのに。 「今日傘持ってないんだよな」 と呟いた。 終了のチャイムがなり挨拶をし、クラスの皆が一斉に動き出す。 僕はもしかしたら雨が止むかもしれないと淡い期待をして空をみる。 「柊、お前傘忘れたのか」 名前を呼ばれたので、声をした方を振り返れば隣の席の 「武田クン。さっきの聞こえてたの」 武田クンは頷く。そして鞄をまさぐっていた。 「これ、貸してやる」 僕の前に差し出された物は、ウサギが描かれたピンク色のファンシーな折りたたみ傘だ。 「えっと。君の趣味…?」 武田クンの顔が一瞬で赤く染まる。 「違うっ!妹が誕生日にくれたんだ!」 「妹さんが。でもいいの?君の分は」 「俺はこの間置き忘れた傘がある。」 なるほど。 しかし、男子高校生かピンク色のファンシーな傘をさすのはかなり恥ずかしぞ。 まぁ、傘が手に入ったのでありがたく受け取ろう。武田クンと途中まで一緒に帰れば、恥ずかしさも半減するだろう。 「家どっち?途中まで帰ろう」 「わかった」 と武田クンが承諾し、帰る支度をして教室を出た。 昇降口に着き、外靴に履き替えると、武田クンが前方で止まっていた。 「どうしたの」 「俺の傘が無くなっている」 急な雨だし誰かに盗られたてしまったか。 僕はとてもいい笑顔を武田クンに向けた。 「一緒にはいる?」
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