あの日の記憶

1/2

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ

あの日の記憶

 同じく2010年9月18日 とある病院の一室、一人の女性が目覚めた。 「花園さーん、入りますよ」 女の人の声が聞こえた。入ってきたのはどうやら看護師のようだ。 (ここは……病院?私がどうして)  女性はなぜ自分が病院にいるのか考えた。 そして思い出したあの日のことを。 (声が出ない) 看護師が入ってきたので挨拶しようとしたが声が出ない。女性が口を開けると看護師は驚き、大きな声で呼びかけてきた。 「花園さん! 花園紗奈さん!!」  ナースが私の肩を揺すり語りかけてきた。私は力が入らずただ涙を流す目の前の女の人の顔を見つめることしか出来なかった。  看護師が部屋から出ていきしばらくするとお医者さんとともに戻ってきた。 医者の先生と看護師は紗奈の血圧や脈をチェックし話かけてきた。 「花園さん、目が覚めたのですね」 先生の言葉に返事をしようとしたが掠れた音が微かに出るだけで返事ができない。 「今は声が出ないでしょうし、頷いたりす るだけで結構ですよ」  先生はそう言うと私にいくつか聞いてきた。 頭が痛いとかはないか、なぜ眠っていたか覚えているか、声を出さなくても答えられる質問を先生はしてきた。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加