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ここは都内のホテルだから、地元の友達がこっちで働いてるケースもよくあるだろう。
どうやらコーチではなさそうなので、ここから出ようか出まいか迷ってしまう。
鷹見くんだったらよかったのに、選手でもすらないなんて。
「えーっと.......待って塁」
「へ?何を待てばいいんだよ」
「何も言うなよ、絶対に何も言うなよ」
そう告げたあと、あたしの上に掛かっている布団を剥ぐ。
「ごめん、暑かったでしょ」
「いや.......全然いいけど、だい.......え!?塁くん!?」
ベッドから降りたあと、見上げた先にあった塁くんのあたしを見て驚いている顔が見えた。
「な、な、な.......なんで莉子がここに!?お前、莉子に手出したのか!?」
「いやいやいやいや、出してねーよ。誤解だから!莉子ちゃん、説明してやって.......」
「.......のまえに、井村くんと塁くんは?」
だって井村くんと塁くんが知り合いだったなんて予想外すぎるよ。
塁くんはただでさえ浅見さんとも友達だったのに。
「そりゃお前.......あー、うーんと.......同級生?」
「え、なんで疑問?」
「いや、なんとなく。で、莉子は何でここにいんの?」
「いやぁ.......」
あたしは塁くんに事の顛末を話す。
「なんだそういうことか。コイツが莉子に手を出したのかと思ったわ」
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