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銀座一丁目、通称煉瓦通りと呼ばれる一角にカフェーオリオンがあった。
表面を白漆喰で塗った煉瓦作りの造りで、屋根の色は空を写し取ったような澄んだ青色をしていた。珈琲だけでなくお酒と軽食を提供するお店だった。
給仕は全員十代後半から二十代の青年のみ。
それも図ったように見目麗しい青年たちを揃えていた。
喉元を隠す白い詰襟の上着に白の洋袴。
海軍の士官を思わせる制服を身に纏っていた。
女性は僕一人だけ。
厨房での皿洗いや掃除が仕事として与えられた。
浩介、話が違うよ。
確か大和撫子って………
給仕目当てに足しげく通い詰めるのはご婦人方だけではなかった。
外国の男性の方も贔屓にしている給仕に会うためにわざわざ足を運んでいた。
何気に視線を感じ皿を洗う手を止め顔を上げると、給仕の男性らと目が合った。
じろじろそんなに見ないでほしいのに。
気を悪くさせないように顔を逸らした。
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