プロローグ

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プロローグ

 サプライズはいけない。  特に、遠距離恋愛におけるサプライズは最悪だ。 (だってドア開けた瞬間に、喘ぎ声ガンガンだったもんね~)  その土曜日、私は玄関で立ち尽くしてた。  遠距離中の彼氏のところに、「やっほーサプライズで帰ってきたよ!」をして喜んでもらおうと、そう思ってやってきた、1か月前まで同棲してた、そのマンション。  思わず取り落とした鞄の音に、慌てたような足音と「なんで莉子(りこ)がいるんだ!?」って彼氏の……いや、元彼の! 元(ここ強調)カレの愕然とした声。 (せめて前隠して来てよ……)  あの「誰~?」ってオンナの声は、しばらく忘れられそうにない。  だって、私はその声を知ってた。 (まさか、同僚に彼氏、寝取られるとは……)  しかも、友達だと思ってた。  親友、だと。  遠距離になるの心配だよ、って言う私に、ニコニコと「莉子と行橋くんなら大丈夫だよ」って言って、私の転勤を「栄転だよ」って喜んでくれてた、あの子。  その子が、私と彼が選んだベッドの上で笑っていた。 「あ、莉子。久しぶり~。1ヶ月ぶり?」  勝ち誇った、カオで。
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