生きていること

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 俺の隣の家には学年で1つ上の西原夏生という背の高い先輩が住んでいる。夏生先輩は色が白くて目が大きくまつ毛がふさふさだ。髪は染めているのかそれとも地毛なのか茶髪だがイケイケという感じではなくて色素が薄い美青年といった感じだ。夏生先輩が不良っぽい友人といるのを見たことがない。だが孤立しているわけではないらしく、時々、休日などは真面目そうな友達が夏生先輩の家を出入りしているのを見たことがある。  俺が今年の春から高校2年生になったので夏生先輩は受験生だ。成績の悪い俺が奇跡的にいい高校に受かったから高校は同じだ。でも挨拶をする程度で懇意にしているわけではない。けれど何にも知らないわけじゃなく家が隣だからお母さんたちが仲良しで夏生先輩の趣味や将来の進学の情報までも夕飯の席などで話題にあがる。だから何処を受験したいかは知っている。都内にある私立の有名な大学を第一志望にしているらしい。俺もその大学に行きたいが今の学力ではダメだろう。部活ばかり頑張って勉強はついてこない。  今は6月の初めだ。まだ梅雨入りはしていないが、ニュースではもうすぐだと言っていた。俺は夏が好きだからこの時期も嫌いではない。夏生先輩もきっと夏に生まれたんだろうから夏が好きだろう。お母さんづてに情報を仕入れようか。夏祭りや花火大会に浴衣を着て並んで歩きたい。
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