生きていること

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 そう、俺は女の子に興味がない。お兄さんみたいな人に憧れていて、彼氏が欲しいと思っている。頭が良くてスポーツが出来て、顔のいい人。親しくしているわけではないから正確には分からないが、俺の聞いた話だけで考えると夏生先輩は全てに当てはまっているオールマイティな人間だ。  俺は中学2年の時、この埼玉県に引っ越してきた。それまでは群馬県に住んでいたのだが、進学には都内に近いほうがいいだろう、とお父さんとお母さんで決めたらしく、埼玉県の鴻巣という都内から1時間ちょっとの町に建売を買った。買ったといってもローンらしいから、お父さんは毎日のように残業して帰ってくるし、お母さんも近くの運送会社で事務をしている。  俺は転校したその日に女の子の友達が出来た。一番に出来た友達が女の子だからといって中学のときはノーマルだったのかといえば、そうではない。たまたま席が隣になったから自然と仲良くなっただけだ。その子の名前は沙也ちゃんという。沙也ちゃんは長いストレートの髪をしていて後ろで1つに結わえてある。目が大きくて笑うとえくぼが出来る可愛い子だ。沙也ちゃんとは同じ高校に進学して今に至る。現在はクラスは隣だが一緒に登校するほど仲がいい。顔見知りの学生の中にはつきあってると勘違いしている子も少なくない。
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