生きていること

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 電車は通学や通勤の人たちでいつも混んでいる。座れることは滅多にないが、立っているのは苦痛じゃない。俺はつり革の付け根に摑まって沙也ちゃんの隣に立つと、少し離れたところで同級生の中田純太がニヤニヤ笑っていた。純太くんは仲がいいわけではないので俺たちのことを付き合っているとでも思っているんだろう。でもあからさまに冷やかすように視線を投げかけてくるなんて。男女で一緒にいる学生は他にもいっぱいいるのに。純太くんはニキビが少しあるが顔立ち整ったモデルみたいな感じのイケメンだ。見た目はいいのに性格は悪そうだ。  学校に着いて門のところで沙也ちゃんとバイバイする。傘をさしていたのにワイシャツが濡れているようで気持ち悪い。湿気のせいだろう。俺は生暖かい空気のなか、部室に行きバスケ部のユニフォームに着替える。朝練は気持ちがいい。まだ力がみなぎっているので全力で打ち込める。俺はドリブルしてからシュートする練習を30分くらいやった。先輩が「咲夜はぐんとシュートの確立が増えたな」と褒めてくれた。この話を夏生先輩に聞かせてくれたらいいのに。少しは俺に興味を持ってくれるかもしれない。朝練が終わってワイシャツと紺色のズボンに履き替えると2年3組のクラスに行く。同級生の海斗くんが俺の肩に手を置いた。
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