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prologue
唇に触れる御堂の指はとても冷たいのに、私の唇はジンジンと熱を持つ。
睨むような切れ長の目に囚われて、指一本動かすことが出来ないのに……心臓の鼓動は驚くほど速い。
お願いよ、御堂。それ以上何も言わないで……
「……よく覚えておけ、紗綾。お前は俺からどうやったって逃げきることなんて出来ないのだから――」
大きな手が私の視界を塞ぎ、何も見えないくなる。
ああ……蛇が絡みつくように、御堂は私をとらえて離さない気なんだわ。
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