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「ほら、冷める前に食べろ」
御堂の言葉にそれ返事が出来ず俯いたままの私を御堂はそっと抱きしめた後、何も言わずソファーへと座らせてくれた。
一人でキッチンへと戻った御堂は、あっという間にオムライスとポトフを完成させテーブルに並べたのだった。
「本当に、食べていいの?」
「紗綾のために作ったんだ、お前が食べてくれなければ意味がない」
「いただきます……」
お店で出てくるようなふわふわ、とろとろのオムライス。スプーンで掬うと卵がプルプル揺れる、ドキドキしながら口に運ぶと……
「美味しい、ふわふわでクリーミー!」
御堂の手料理は想像していたよりもずっと美味しくて。悔しいけれど、私が作るオムライスよりとても美味しいと思う。
「そうか、料理の出来る夫。そういうの、紗綾も嫌じゃないだろう?」
「……お、夫ですって? 御堂、あなた何を言ってるのよ!」
まさか御堂が、そこまで私との未来を考えているなんて思いもしなくて。私はその言葉に頭が混乱してしまった。
「当たり前だろう? 俺は最初からその気だし、紗綾にも同じ気持ちになってもらうつもりだが?」
聞いてないわよ、そんな事。
御堂と結婚? まさか御堂の言っていた「迎えに来た」ってそういう意味だったりするの?
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