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「守りたい……? 私なんかを、どうして?」
「紗綾、お前は俺に何度も同じことを言わせたいんだな。好きな女性が困っているから力になりたい、理由なんてそれで十分だろうが」
御堂の言葉はいつも少しの迷いもない、いつもうだうだと迷っている私とは違う。彼の中で優先順位がはっきりしていて、その上位に私が入っているという事なんでしょうけれど……
「もし、私が困っている原因が貴方だとしたらどうするの? 私の前からいなくなってでもしてくれるの?」
本当はそんな事望んでいないけれど、私の問いに御堂がどう答えるのか知りたかった。気持ちに応えようとしないのに、駆け引きだけをしたがるなんて。
狡すぎる自分に呆れながらも、それでも聞きたいのはどうしてなのか。
「……それは出来ない相談だな。何を言われようと俺は紗綾から離れる気はない、別の方法を探すだけだ」
ほらね、貴方はそういう人だもの。
私は彼まで嫌がらせを受けるのならばお互い離れた方が良いって考えるけれど、御堂はそうじゃない。
「じゃあ言わせてもらうけれど、私だって御堂を守りたいのよ?」
「それは有り難いが、それで紗綾が辛い思いをしては意味がない。そうだろ?」
それって全部、貴方が勝手に思ってる事だけれどね? でもこんな風に私を甘やかしてくれる存在は、今までいなかったから。
「……本当に頼っちゃっていいの?」
「ああ、むしろ俺だけを頼ってくれるともっと良い」
もう! そんな風にあからさまな独占欲ばかりみせようとしないでよ。今の私は誰のモノでもないのだから。
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