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そんな事言ったって……少し嫌がらせされたくらいで、貴方はその女子社員達に無茶しそうじゃない。
「でも、これは私の問題なのよ? だから……」
「つまり紗綾は今回の事を俺だけで決着をつけるのは納得出来ない、という事か?」
私の意見を聞くと、御堂は顎に手を当てて何かを思案している様子。その事に私はちょっとだけホッとした。
「私はその……御堂と自分が少し距離をとるのが良いかと思ったんだけど」
これは私だけで考えたこと、だけど私の言葉を聞く御堂の顔はすぐに険しくなってしまう。
こういう時だけ分かりやすいのは、どうかと思うわ。
「却下だな……紗綾はそれを俺が納得すると思って言っているのか?」
そりゃあ、貴方が納得するとは思ってないわよ。だけど、私にはこんな方法しか思い浮かばなかったのだし。
「じゃあ、御堂はどういう方法を考えてるって言うのよ?」
あれだけ自信ありそうに守ると言ったのだから、よほど良い案があるんでしょう? それならば、聞かせてもらおうじゃない。
「そうだな……一つ目の方法は、俺がアイツらに本性でも見せて脅してみるとか?」
「そ、そんなことして良いわけないでしょうっ⁉」
御堂はそう言って笑うけれど、とてもじゃないが私は笑えない。私が頼んだ事とはいえ、この人にそんな事をさせられるわけがない。
課長代理として頑張っている御堂だからこそ、そんな彼の立場を私のせいで壊すような事はして欲しくない。
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