仮面を脱いだ平凡男

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 話してみて旅行が趣味だと言うし、飲む買う打つはやらないようだし、真面目に働いているようだし、そんなことから直太朗が極普通で誠実な男のように百合菜は思えた。何せ、以前、付き合っていた男が飲んだくれで不良だっただけに直太朗が全くいい人のように感じたのだ。おまけに付き合いやすささえ感じた百合菜は、人ってちゃんと向き合って話し合ってみないと分からないものだわとつくづく思った。  早い話が百合菜は直太朗を気に入ったのだ。だから、この日をきっかけに直太朗と付き合うようになり、デートを重ねる中で直太朗がとても良くしてくれるから気づけなかったのだが、お互い当たり障りのないようにしながら宥めたり賺したりして仲を良い塩梅に育んで行き、そうして到頭、結婚にたどり着くと、直太朗が可もなく不可もなく平凡過ぎて詰まらない男であることに気づき、元気の源を奪われるように幻滅して行った。  百合菜は直太朗と結婚してから今までのことを振り返って、こう思うのだ。
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