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「大口契約にカンパーイっ! 尚ちゃん、私やったよ! 復刻版オムライスのオーダーメイドのサンプル作製に携わる仕事を、自分で取ってきたんだよぉぉ」
居酒屋「KAIKO」のカウンターに座り、みりは声をあげて生ビールを口に運んだ。尚ちゃんは、ほう、と笑って、スキンヘッドの頭をかいた。
「お祝いじゃないか」
「そう! お祝い! ビールが美味しいっ! しかもね、あの駅前のファミレスの復刻版のオムライスって、エビフライと、デミグラスソースがのってて、ボリュームがあるんだけど、中のチキンライスがさっぱりしててね! もちろん食品サンプルではその内側は樹脂だから見えないんだけど、その内側を想像しながら、製作過程に携われるのが、楽しみで楽しみで…」
「……もう立派な変態だな」
みりの言葉尻に続くように、藤崎の声がした。
「あ、藤崎さん、いらっしゃい」
「……部長、また来たんですか?」
「来ちゃ悪いか」
みりはカウンター席の隣に座った藤崎から顔を背けて、けっ、と下唇を出した。
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