如月かれんは二百二十二回死ぬ。

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「ちょっと意味、わからない――」 「まあ、そうだろう。即座に理解できる方がおかしい」  少女はそう言って、ごろりとベッドの上に体を投げ出しました。 「だからまあ、理解しろとも言わない。ただ、ひとつの事実としては、わたしにはもう、行く場所がないのだ。ここ以外には。おまえの家以外には。迷惑だろうとは思う。だが、ここ以外には、本当に―― わたしは――」  そのまま沈黙。  少女はそれ以上、説明をしませんでした。  わたしは何だか、急に、その子のことが、なんだか可哀そうに――  ぜんぜん意味も通らないし、言うことはぜんぶ、支離滅裂だけど――  行き場が、ない。    その、そこの部分だけは、きっとたぶん、本当なのだろうなと。  彼女の声のトーン、なんだか急に弱弱しい、その、寝姿――  それを見ていると、なんだかもう、さっきまでの、  とっとと帰れ! という強い気持ちは、急激にしぼんでしまって――
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