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「うーむ。やはり初夏の夜は、女二人のすき焼きだな! これ以外の選択肢は、もはや思いつくことすら難しい。」
などと言いながら、かれんはすき焼き鍋から豪快に大きな肉を引きあげ、卵をからめずにそのまま口にもっていき、たいして噛みもせずにそのままグワッと飲み込みました。食べっぷりが良いと言えば、そう言えなくもないです。が、女子としてはちょっとばかり品のない食べ方だ。と言えば、それもそのまま当たりかと思います。。さっきスーパーで買ってきた高級霜降り肉の山が、みるみるうちに減っていき――
「なんだ、もう食べないのか橡原? 相変わらず小食だな。」
「っていうか、もともと、すき焼き、あんまり好きじゃないし――」
「む、そうだったか? そこはわたしもチェック不足だったな。まあしかし、これを機会にあらためて好きになると言うのもひとつの―― む、良いなあこれ。良い肉だ。またこれ、砂糖が多すぎず少なすぎず、絶妙の味付け――」
わたしはすでに半分くらい食欲を無くして、ただただ、爽快なペースで肉ばかりをたいらげていくかれんをテーブルごしに眺めるのみでした。
すき焼きが食べたい!
彼女が、あまりにも強くリクエストするので。。その勢いに負けて承諾したものの――
さっきのスーパーでの買い出しは、かなりの出費で―― なにしろかれんは、高い肉ばかり遠慮なくカートに放り込むし―― レジ打ちされた合計金額を見た時は、なんだか茫然としてしまいました。。ふだんわたしが日々の食材の買い物に使う金額の二倍三倍とか、そんな生易しい金額ではまったくなくて。。
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