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「いや~、しかし橡原は、将来良い嫁になるな。この野菜の切り方ひとつとっても、有能な主婦予備軍としての才能を余すところなく発揮している。」
「…って、ぜんぜんそれ、意味、わからないですから」
「いやしかしうまかった。」
唇のはしに肉汁をつけたままで、かれんが満足そうにポンポンと自分のお腹を叩きました。
「何度食べても食べ飽きるということがない。死んで戻ってくるたびに、最初にまず食べたくなるのがこれだ。二百回以上人生をリピートしても、すき焼きを上まわる料理を、わたしは未だに見つけられない。」
「…はは。それはよかった。」
「では、次はあれだな。ひとまず腹はふくらんだところで。」
「え? 次?」
「さ、移動だ移動。これとこれと、これを持て。」
「え、ちょ、ちょっと、勝手にそんな――」
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