如月かれんは二百二十二回死ぬ。

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 そうしてひとりで、しっかり勝手に酒盛りをして――  いくつもの缶をひとりで空けて――  気が付いたらかれんは、そのままそこで――  寝息をたてて、お腹を出して、だらしなく寝込んでしまって――  偉そうに言っていたわりに、案外お酒には弱いみたいで。。    でも、なんだかこうやってそばで眺めるその寝顔が、意外に無邪気で可愛くて。  だらしなくお腹を出して寝ているかれん。  でも、その姿が、あまりに無垢で無防備で――    不思議と、怒る気持ちも消えてしまいました。  ま、いいか。一晩くらいなら――  そんな感じで。とりあえず今夜は、ま、いいかな、と。    でもまさか、  その「とりあえず」が、まさかそのあと、あんなにも長引くとは。  これは確かに、誤算でした。そのときは考えてもいなかったです。そのあと二人の生活のこと。ふだんなら、はやく終われば良い一心で無意識にやりすごす梅雨の終わりのその時期が、あんなにも濃い、特別な時間になるなんてこと――
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