如月かれんは二百二十二回死ぬ。

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5  奇妙な同居生活のはじまりでした。  朝起きると、その馴染みのない少女が同じ部屋の床でひどい寝相でグウグウ寝ていて、わたしは毎朝、なにげに戸惑いました。わたしには兄妹はいないし、これまでずっとひとりで部屋で寝起きしてきたし、部屋に他の誰かが寝ているとか、なんだかどうも落ち着かない状況で――    朝食のテーブルでも、父親以外の誰かが向かいに座って、玉子をもぐもぐ食べてだらしなくテレビを眺めてるとか。これも違和感がすごくて、毎日慣れません。しかもその相手、わたしよりだいぶ美人な女の子です。髪も綺麗、肌も綺麗でつやつや。でも、だけど、そのテーブルマナーはひどいもので。。そのギャップがあまりも――  なんだかこれは変な気分。まったくもって違和感ありありです。  まあそれでも――   ようやくわたしが、手ばやく制服を着こんで身支度を整えて家を出るときには―― 「車に気をつけてな。しっかり勉強して来いよ。変な男にからまれるなよ。」  などと、ぜんぜん女の子らしくない変なコメントを投げながらこっちに手を振って―― なんだかまるで保護者のよう。むしろこの家の、正規の住人みたいなふるまいです。  なんだかなぁ、と思います――
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