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かれんが初めてやってきたのは、6月の下旬。
梅雨の合間の、ひさびさに朝から晴れた日、
窓から入る風がやがて来る夏の気配をこっそりと運んでくる、どこか気だるい午後。
午後のホームルームは終わって大半の生徒は下校し、教室の中に残っている生徒はまばらでした。四階の窓の外、ずっと足元のグラウンドでは、サッカー部の男子たちがはやくも練習を始めており――
そんな午後の教室の片隅で。
窓際の席、机に肘をついて窓の外を眺めながら、その少女は座っていました。
「あ、あの―― そこは―― わたしの――」
「ん?」
少女がこちらをふりかえりました。
長いまっすぐな黒髪が風にひるがえり、
はっとするくらい端正な顔立ち――
細くてまっすぐな眉、整った鼻、
黒と言うには少し色素の薄い、少し不思議なすみれ色をした目――
しかし、だけど――
着ている服が、明らかに変です。
淡いピンク系のカーディガン。ブルーのショートスカート。純白のカッターシャツに、赤と黒のチェックのタイ―― 明らかにうちの制服ではない。いったいどこの――
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