如月かれんは二百二十二回死ぬ。

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「おーい、橡原。遅いぞ。ちゃんとついてきてるのか?」 「って、かれんがそれ、速すぎるのよ~。もうちょっとゆっくり――」 「あまりゆっくりしてると、蛍の時間が過ぎてしまうぞ。」 「蛍って―― 別に急にいなくなるわけじゃないでしょう――」 「ある時間を過ぎると、一気に光が少なくなるのだ。時間勝負だ。」 「それってホントの話? なんだかなぁ… って、もう、ちょっと待ってってば~。」  そうして何とか、それでもなんとか、  わたしはそこに、着きました。  鬱蒼と木の茂った山の中、急にぽっかりと見通しの開けた、  森の中の広場のような―― そこだけ空が見えていて――  どこか近くで、ざぶざぶと水が流れる音―― 「うそ。信じられない。」  光の中に、かれんが立っていました。  小さな黄色とオレンジが混じり合う、飛び交う光の渦の中――  一種異様な、瞬く光に包まれて、かれんがそこに、背中をむけて立っており―― 「どうだ。綺麗なものだろう?」  満足そうに、くるりと振りかえったかれん。  その髪にも肩にも―― いくつもの蛍が――  まるで光のジュエリーみたいに、かすかに小さく瞬いて――
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