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「来週なのだ。」
「来週?」
「来週わたしは、死ぬ。」
「え? 死ぬって、それ、冗談とかじゃ――」
「冗談などではない。もし仮にそれが冗談であれば、どれだけ幸せであることか――」
かれんが小さく、ふふっ、と笑いました。その笑い方があまりにも何か、はかなく不憫で寂しげだったので、わたしはなんだか、急に心配になってきました。
「い、いつなの? 具体的には?」
「来週だ。」
かれんは同じ言葉を繰り返しました。
「正確に日にちまで言うと、おまえが心配するだろう。あまりおまえに心配をかけたくはない。」
「心配をかけるって―― だけど――」
「大丈夫だ。お前に迷惑はかけない。死ぬときは、正確にいつかわかっている。その時がくれば、自然とお前にもわかる。だから心配はない。ただわたしが、いなくなるだけだ。それだけだ。お前には何一つ、迷惑はかけない。」
「迷惑って―― そんな――」
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