如月かれんは二百二十二回死ぬ。

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 だからわたしは今でも――  何回死んで生き戻ったあとでも――    ついついお前に、会いに来てしまう。  会いたくて会いたくて、ついつい、会いに来てしまう。  迷惑だろうな、とは思う。申し訳ないとは思うよ。  いきなりそこに現れて、親友だとかなんとか言って、  いきなり家に居候して、いきなりいきなり、何もかも――  大迷惑だ。すまない。それはほんとに、すまなく思っている。    ただひとつ、わかって欲しい。  わたしはあのとき、あの大雨の夜、  あの街角で、おまえが傘をさしのべてくれえた、あのとき以来――  おまえのことは、本当に、一番の、信頼できる人間だと。  そのことだけは、いちども心に疑ったことはない。  おまえは本当に信頼できる。おまえは本当に、優しい心を持っている。  お前のその、とても綺麗な素朴な心が、  わたしはほんとうに、大好きだ。  大好きだよ、橡原。  ほんとうに大好きだ。そして感謝している。  「ありがとう」を、百万回でも繰り返してお前の耳に届けたい。
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